不安と愛情

日記

「ねぇ・・・。寂しいんだけど・・・。」

彼女からの電話に私は驚きを隠せなかった。

ここ何日かで不安にさせた事もなければ、愛し合っていたと確信できる行為もあったからだ。

「何かあったの?」

私も不安ではあったが、平常心を保ち彼女に聞いてみた。

「ん〜・・・、特に何も。」

彼女は普通に会話しているような素振りを見せるが、私は人間が覆っている気の色でおおよそ気持ちの状態を判断できる。何もない時は白色で、機嫌が少しでも良い時は黄色になるのだが、彼女は灰色と青色が少し混じっていた。オーラというものは電話越しにも伝わってくるものだ。

(嘘をついてるかな・・・?)

そう思いながらも本人が自分から話してくれるまで私は待つ事にした。おそらく私にはあまり言えない事情なのだろう。

仕事が終わり、会う約束をした私は待ち合わせの場所に向かった。

(自分が悪い事したのかな?特に何もしてないとは思うんだけど・・・。)

私も不安になりながら、彼女の待っている場所に到着した時、時計は21時を指していた。

「ごめん!待った?」

「ううん・・・。そんなに・・・。」

彼女をしっかりと見てみると、やっぱり灰色と青色が混じっていた。青色は昼間よりも濃く大きくなっていた。

「何かあったでしょ?」

彼女が私に何か言う前に、私は尋ねてみた。

「・・・。」

彼女は黙り込んで下を向いた。唇が震えていた。今にも涙を流しそうな表情をしていた。

「実は付き纏われてて・・・。」

口を開いて話を始めた彼女の顔は既に涙で濡れ、負のオーラでいっぱいだった。

話をゆっくりと聞くと、男の人に食事を誘われたりメールが来たりと不安な状況が立て続けに起こっているとの事だった。その男性は私も良く知る人だった。

「そんな事があったんだ・・・。」

私は涙が止まらない彼女の身体をそっと抱き締めた。小さな彼女の肩は涙を流すと共に震えていた。

「もう大丈夫。大丈夫だから。」

私は彼女に言葉を投げかける。気持ちも落ち着き安心して来たのか、彼女の色は青から黄色へと姿を変えて来ていた。

「ねえ、私をあなたの色に染めて。」

泣き止んだ彼女から言われた事に私は少し赤くなった。そんな言葉を彼女が言うとは思わなかったからだ。

「そんな気持ちになれる?もう少し落ち着いてからの方が・・・。」

「今じゃないとダメなの。お願い。」

私は少し考えたが、今私に出来る事はそれしかないのではないかと思った。

私は彼女を後部座席に仰向けに寝かせて、覆い被さるようにして彼女の唇に触れた。

「愛してるよ。」

「私も愛してる。」

いつしか彼女のオーラは黄色と桃色が混じった色に変わっていた。私はほっと胸を撫で下ろし、彼女に身を委ねた。

いつもよりも優しく暖かく包み込んだ私だったが、いつの間にか彼女のペースにされて包み込まれていた。

2人で絶頂に達した後は、ゆっくりと幸せな時間を過ごした。

これからも何度もこのように不安になる時は来るだろう。私も彼女もそれを助け合って生きていかないといけない。人は1人では絶対生きていけないのだ。

私は彼女を抱き締めながら、そう強く感じた。


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