「試合優勝したよー!」
1本の電話が届いた。凄く明るく元気な声だったのは今でも覚えている。
スポーツの大会で優勝したと私に連絡をしてきた。彼女も喜んでいたのだが、私も凄く嬉しかった。
「良かったね。本当に良く頑張ったね!」
そう伝えると彼女は嬉しそうに頑張ったと返事をして来た。
電話越しでも跳ね回って喜んでいるのが伝わってくる。私も心の底から嬉しかった。
「今日はお祝いだね!」
彼女にそう伝えると、早くも食べたいものを探しているようだった。
会場から急ぎ足で帰って来た彼女は、携帯でお店やメニューを見て晩ご飯を探していた。
「見つかった?」
「色々食べたいから選べない・・・。」
そう言いながらもお腹の音が聞こえる。
・・・私では無かった。
「お腹減ってるならパッとどこか選んて行こうよ!」
「折角の優勝祝勝会だよ〜。お店考えないと。」
一生懸命スマートフォンでお店を探す彼女の顔は真剣な顔をしていた。私は横で彼女の顔を見ていたのだが、相変わらず綺麗な顔をしていた。容姿自体が私にとっては釣り合わない程、綺麗な姿をしているのだ。
「お肉食べたいな〜。」
私の顔を下から覗き込んできた。その姿に慣れているとはいえ、少しドキッとした私は目線を逸らした。
「食べ放題行く?」
そう尋ねると嬉しそうに頷き喜んでいた。
彼女にとってはお肉よりも私と居れる空間が本当に嬉しいのかもしれない。私にくっついてくる彼女は、普段見せない姿を見せてくる。甘えたで、目をうるうるとさせて私の心を揺すってくる。
私にしか見せない姿であろうその姿に、私はいつも目を奪われていた。この空間・・・時間がずっと続いてくれないかといつも願う程だ。
彼女にとって、私の腕枕は居心地が良いみたいだ。いつも私の懐に入ってくる。私もそれが慣れてしまっているので、横に居ないとしっかりと寝れない状態になってしまっている。
食事を終えて、今日も1日が終わろうとしている。私だけかもしれないが、終わりが近くに連れて寂しさがこみ上げてくる。
もっと休みが取れたら・・・。
もっと時間を作る事が出来たら・・・。
そう思えば思うほど、心が痛くなるばかりだ。別れの時間がやって来た。
「またね!」
彼女も私も元気良くバイバイをする。ただ、一緒に居れないという心苦しさだけが残った。私も彼女も一緒に居れる事が幸せだと実感していた。物が欲しいわけでも、遊びに行きたいという気持ちが強すぎてもいけない。私と彼女は会える幸せをずっと感じていた。
また来週もどこかに遊びに行くわけでは無く、同じルーティンで生活を送るだろう。だが、一緒に居れる時間が長ければ長いほど、私は嬉しい。
この時間が止まってくれる事を私はいつも願う・・・
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