心の扉

小説

彼女と出会ってから、私は心の扉というものを理解した。

その扉はとても深い所で閉ざされていて、誰もが開く事の出来ない頑丈な扉だ。

その扉の先にあるものとは一体何なのか・・・。私は彼女の心の奥がどうしても知りたかった。

7年の月日が流れて、彼女は徐々に扉を開いていった。扉の鍵は信頼・愛情・優しさなどの感情がキーワードだったと知る。


だが、信頼・愛情・優しさの良い感情だけを伝えているだけでは彼女の扉は硬く閉ざされたままであっただろう。時には喧嘩をし、言い合いになる事でお互いの全てをさらけ出したからこそ、扉は開かれたのだと私は思う。

初めて会った彼女の事は今でも鮮明に覚えている。人に対して常に疑いがある目をしていた。容姿からも分かるように、帽子を深く被る事によって、目が会わないようにしていた。声を掛けると、表面上の笑顔と挨拶をしてきた。普通の人なら本来はそれで通り過ぎ去っていたと思うが、彼女からは何か悲しみの空気を感じられた。


最初からインパクトのある事をしないと彼女の悲しみは取れないだろうと私は考えた。積極的に会ったり、話をしたりする事によってほんの少し扉が音を立てて開いた気がした。その隙間に手を伸ばしてもまだ彼女には届かなかった。叫んでも振り向きもしなかった。


そこから徐々に彼女という人を良く知る事になった。唯一救いだったのは彼女が感情を全て閉ざしていなかった事だ。私はその感情に手を差し出した。


どんどん年月を重ねる事によって、彼女の閉ざされた心の扉はいつしか完全に開いていた。今は私と手を繋ぎ、扉はもう閉じる事は無くなっていた。


扉が開かれない事もあったかもしれない。だが私は彼女を助ける事が出来た。


今度は私自身が彼女の扉を閉ざさないように。


私も自分の心の扉を閉ざさないようにしないといけない。いつどんな人が目の前に現れたとしてもその心の扉は閉ざしてはいけないのだ。


7年経った今も彼女の扉は開いたままである。今では何も言わずに意思疎通ができるようになっている。もう心の扉は壊れたままだ。

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